クリマイ世莉が解説!
クリミナルマインド10第13話「ギデオンの遺言」
あのギデオンが凶弾に倒れた( ̄□ ̄;)!!
は、犯人はどいつだ~!
悲しみと悔しさを噛み締めながら犯人を探すホッチたち。
そして、明らかになるギデオンらしい足跡と、何十年も前の未解決事件の犯人との関連性!
ホッチたちが偲ぶギデオンの思い出と若き日のギデオンとロッシにも注目して!
脚本を手がけたエリカ・メッサーとクリスティン・ヴァンガスネスのセンスが光る、
クリミナル・マインドシーズン10第13話「ギデオンの遺言(Nelson's Sparrow)」のあらすじと感想です。
スポンサードリンク
元BAUのギデオンが、自宅で射殺体となって発見された。
ギデオンがBAUを去って8年。
予期せぬ再会に、ホッチナーたちは悲しみを無念さをにじませながら捜査を開始する。
ギデオンが見つかった自宅の山小屋周辺にはタイヤ痕はなかったが、犯人はハイパワーライフルを所持している可能性が高く周辺道路は検問が行われていた。
ギデオンの自宅周辺を調べていたロッシとホッチナーは、犯人のものとみられるサイズ10の足跡を見つけた。
そこから自宅までの距離は、致命傷を追わせるには難しい距離。
2人は、犯人はギデオンに自分の正体を知らせるため、まずはじめに負傷させてから家の中に入り、その後室内でとどめを刺していることから、ギデオンを恨む人物の犯行と分析する。
ギデオンは1975年からプロファイラーとして活躍し、引退するまでの40年間で、人数を把握するのが難しいほど犯人を逮捕したため、その中から犯人を探し出すのは困難を極めた。
ギデオンの検死結果を聞くモーガンとリードだったが、ギデオンの死がショックで動揺を隠せないリードの様子を見たモーガンは、気持ちが落ち着くまで、とリードを一人残し、部屋を出た。
ギデオンの自宅でギデオンの最後の足跡を調べていたJJ、ケイト、ガルシアの3人。
クレジットカードの履歴から、ギデオンはジャクソンビルから急遽自宅に戻ろうとしていたが、なぜか自宅から1時間しか離れていないロアノークで1泊していたことを発見する。
リードは3人に、「もしかしたらギデオンは、元恋人のサラのような女性と出会ったのかもしれない」と見解を述べる。
現場検証を行っていたロッシとモーガンは、ギデオンがなぜか犯人が立っていたと思われる場所と、別の方向に1発銃弾を撃っていたことを発見する。
その銃弾はちょうど鳥の絵に当たっていたが、それを見たロッシは、ギデオンは、自分たちに犯人を知らせるためということに気がつく。
ロッシはリードを誘ってBAUの前身である「BSU(行動科学課)」のオフィスを訪れる。
そこで40年前に起きた未解決事件のファイルを取り出し、ギデオンを殺害した犯人が、同一犯である可能性を示唆した。
ギデオンとロッシが捜査していた事件とは1978年、ロアノークで発生していた3人の女性が殺害されるという連続殺人事件。
被害者の女性はいずれも20代でブルネットで、首を絞められて殺害されていた。
さらにギデオンが注目したのは、被害者の手には鳥の死骸が握られていたことだった。
捜査を続けていたギデオンとロッシだったが、その後殺人はピタリと止み、未解決事件になってしまっていたのだった。
ロッシは、「ギデオンがロアノークで急遽滞在したのは何か発見し、再び犯人を探し始めたのではそれに犯人が気づいたため、ギデオンは殺されたのではないか」と推測したのだった。
ロアノークで発生した殺人事件について調べていたガルシアは、ロアノーク郡セーレム郊外で、50代の女性の遺体が発見されたことを突き止める。
犯人に拘束された後殺害された可能性が高いため、JJとガルシアを除くBAUメンバーはロアノークへ向かう。
ギデオンの財布から、古い写真が見つかる。
写真の裏にはタラ・バーネット(Tara Barnett)と書かれており、ロッシは今回見つかった遺体は、彼女だと直感する。
タラの検死結果によると、死因はがんであったが、足は何度も脱臼したかのように腰帯と大腿骨の間を走る靭帯が切れていた。
さらに検死官は、タラには無数のたこができており、それはまるで歩行不自由な犬のようだと説明、似たような女性の遺体を過去3人見たという。
タラが発見された現場を訪れたホッチナーとケイト。
遺棄された状況を分析したホッチナーは、犯人は被害者を鳥と見立て巣の中にいるように遺体をディスプレイしていたことを発見する。
犯人が被害者の手に残した鳥の死骸はネルソンネルソントゲオヒメドリで、危険が身に迫った時にも飛ばずに足を使って逃げるという特徴は、被害者に結びつくものがあると犯人は考えていることを示唆している。
犯人は鳥に精通している人物の可能性が高いうえ、タラを長期間監禁したのは、彼女が自分の理想に近かったため。
なぜギデオンは未解決事件の犯人を見つけようとロアノークに来たのか?
犯人がなぜギデオンが自分を探していることに気がついたのか?
その答えを求めて、過去にギデオンとともに来たことのあるダイナーを訪れるロッシ。
ギデオンは、ロアノークで身元不明の女性の遺体が発見されたことを新聞で知り、それがタラのものであるか確認するために現地にやってきた。
そして、独自の調査でそれがタラであることを確信、事件を追っている姿を見せることによって犯人に気づかせるという捜査方法を使ったため、犯人はギデオンの存在に気がついたのだ。
犯人の存在が徐々に明らかになる中、新たな事件が発生してしまう…
スポンサードリンク
このエピソードを観て、初めて出た言葉は
「ギデオン、殺すか~?!」ではなかったでしょうか?
ショックを受けてしまったエピソードでしたが、ギデオンの人柄や、過去の事件とのリンクなど、無理なく自然に絡められていて、構成がとても秀逸だなと感心させられました。
脚本はエリカ・メッサーとガルシア役のクリスティン・ヴァンガスネスなんですよね。
ギデオン死亡としたのは、「今もなお絶大な人気を誇るギデオンは、もうBAUには戻ってこないんだよ」というメッセージなのかな、と思ったのですが、エピソードの構想はエリカがBAUの前身のBSUを描きたかったのが始まりで、同僚だったロッシとギデオンが一緒に仕事をしているところを描こうと思いついたのが理由だったようです。
クリスティンを誘って共同で脚本を書いたということですが、ギデオンというキャラに対する敬意や愛情を感じましたし、BSU時代を描くことによって、クリマイの知られざる部分に触れて
ますますドラマが好きになってしまいました。
若い頃のギデオンとロッシを演じた役者さんたち(ベン・サヴェージとロバート・ダン)、見かけ、性格、仕草、彷彿とさせるものがありましたね^^
女性を鳥としてしか見てないんじゃない?と、呆れてしまう犯人はそれだけで十分ヤなやつなんですが、大好きなギデオンを殺してしまったので本当に、嫌いです!
私にとっては、ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンに抱く感情と似ています。
スペンサーの気持ちに同情して涙ぐんだり、JJとガルシアがギデオンの好物「ミントチップアイス」を食べるシーンで笑ったり、昔行ったダイナーで、ロッシがギデオンの格好を説明しているときに「そうそう、ギデオンてそういう服装」と、懐かしんだり。
ギデオンと別れるのは寂しいけれど、ギデオンの魅力が十分に堪能できたので、見終わった後はなぜか清々しい気持ちになりました。
エリカいわく、このエピソードはクリマイ10週年を記念して「これまでクリマイをサポートしてくれたファンへのラブレター」ということです。
そういう思いが伝わってきたのかな、という気持ちになりますね、このエピソードは。
「私の大好きなエピソード」に決まりです!
BAUのレジェンド、ギデオンを殺害した犯人。
ドニー・マリック
出典
クリマイだったら「並」な犯人ですが、ギデオンを殺したということで、その汚名をクリマイ史上に残しましたね。
あ~イラっ。
実の親が精神障害を患ったことで、伯母であるガーティに預けられ、鳥に魅せられたドニー。
さらに、ガーティが亡くなると、その姿を求めて女性を誘拐し、気に入らなければ殺害して遺棄していました。
タラがガーティの身代わりになり、ピタッと犯行をやめましたが37年後、タラががんで亡くなると、再び犯行に及びます。
タラの死をきっかけに、ドニーが犯人だということにいち早く気づいたのがギデオン。
そして、ドニーをおびき寄せるために「俺はお前を見つけるぜ」作戦に出ますが、それが命取りとなったわけです。
被害者に鳥の餌を食べさせようとしたり、ギデオンの死体の写真を撮ってアルバムに貼って喜んだり。
鳥とタラを合体させた絵も描いてましたよね。
完全にイカれてる…
こんなアホにギデオンが殺されたなんて、ホント悔しいです!
ギデオンもドニーも鳥に魅せられていましたが、なぜこうも違うんだろうって気が遠くなりますね…
最後はロッシの挑発に乗って命を落としましたが、それが救いだったかな。
ロッシが敵を討ってくれた気持ちになりました。
ギデオンの遺体が運ばれた後、ロッシがホッチに「友人が一人ずつ亡くなっていく」と、寂しく漏らしましたね。
言われてみれば、ロッシは付き合いのあったストラウスを失い(「レプリケーターの正体」)、親友だったハリソンを失い(「英雄の死」)、そして今回BAUの前身を共に支えてきた同僚を失いました。
ハリソンは病死でしたが、他の二人は殺人。
やるせないですよね。
ケイトがギデオンの講義を受けたことがあるという話の延長で、名前が挙がったのがフットパスキラー。
ギデオンがBAUに戻るきっかけになったシリアルキラーですが、ギデオンはプロファイリングをしたものの捕まってはいませんでした。
それがシーズン1第1話「「シアトルの絞殺魔」」の最後で、ギデオンは偶然フットパスキラーと遭遇!
危機一髪の状況に陥りますが、見事フットパスキラーをお縄にしました。
なお、フットパスキラーのキャラがとてもインパクトあったので、こちらの記事に詳しくまとめてみました。
ギデオンの訃報を聞いて駆けつけた息子、スティーヴン。
ギデオンに息子がいることは、かなり前からわかっていましたが(「テネシーの吸血鬼」)、登場するのは今回が初めてです。
スティーブンの姿を見たロッシは、「もう子供じゃないんだ」とつぶやきますが、ロッシがいかにギデオンと歴史を共有しているかがわかりますよね。
スティーヴンはギデオンからずっと疎外感を感じていました。
「子供を持ったことを後悔しているのでは」と思うほど。
ギデオンの仕事に対する姿勢を考えると、そう感じるのもおかしくないかな。
でもホッチ断言してましたよね。
「それは違う」って。
ホッチはギデオンがスティーヴンに対して寂しい思いをさせていることに申し訳無さを感じていたことを知ってました。
また、回想シーンで、ギデオンがタラを見つけることに執念を燃やしすぎていたことからもわかりますよね。
ロッシがプロファイリングしたとおり、ギデオンはタラの母に、これから父親になる自身の姿を重ねていました。
そして現在。成長したスティーヴンにロッシが「ギデオンの仕事ぶりは見事だった。君がいたからさ」と告げます。
息子が住みやすい世の中を願って仕事に励んだギデオン。
泣けるじゃないですか(´;ω;`)
かなり時間がかかってしまいましたが、スティーヴンもこれで救われたのでは。
いい人でした、本当に、ギデオン。
ギデオンの手帳の最後に貼ってあった女性の写真。
「サラ・ヤコブ」とありましたが、サラは、ギデオンの元彼女で(本人は否定していましたが。でも、親密なところを見ると彼女と呼んでもいいと思います!)、シーズン2の最終話「史上最強の敵 再び」で、クリマイ史上悪名高いシリアルキラー、フランクに惨殺されてしまったのです。
これがギデオンがBAUを去る理由になったのですが、ギデオンがBAUに戻ってきた理由と去った理由が登場しましたね。
これも意識された設定なのかな^^;
にしても懐かしいです。
いつの間にか顔を覚えてしまったワイス検視官。
ワイス検視官は、シーズン8「レプリケーターの正体」と、今シーズン「宿命のナイフ」に登場しました。
検視を行ってるのがヴァージニア州で、クウォンティコに近いという地理的条件から、登場しやすいんですね、きっと。
今回ギデオンの検視報告は特別でしたね。
ワイス検視官の話を聞くスペンサーの辛そうな表情もそうでしたが、ワイス検視感の目にもうっすらと涙が。
ワイス検視官、これからも時々姿が見れそうです。
今まで知っていたこともそうでないことも
今回のエピソードで思い出したり、明らかになったりしましたが
それが一番このエピソードが好きになった理由ですね。
【これがギデオン!】
1.未解決事件の被害者の写真を持ち歩いていた
2.そのことを忘れず、引退しても事件を解決しようとしていた
3.お決まりの服装はストライプのシャツにスニーカー
4.ミルクシェイクが好物
5.ホテルの備品を持ち帰り、ホームレスに渡す
6.ミントチップアイスが好物
7.息子の名前「スティーヴン」は、ロッシのミドルネームから来てる
8.鳥を狩るのは嫌いだけど、観察をするのは好き(鳥それぞれ行動に違いがあるから)
エピソードの最後で、ホッチとロッシがギデオンの回想してましたが
おちゃめな一面もあったんですね(/_;)
ギデオンの人柄や、事件の展開をうまくリンクさせるって簡単にできそうでできませんが、鳥をカギに、よくここまで話作ったな~。
改めてエリカとクリスティンの手腕に脱帽です!
今回のエピソードの原題は「Nelson's sparrow」。
エピソードにも出てきましたが、ネルソントゲオヒメドリのことで、名前は動物学者のエドワード・ウィリアム・ネルソンにちなんでつけられました。
繁殖地域はカナダや中央アメリカの沼地で、地面に近いところに巣を作ります。
食べ物は、草や沼地にいる昆虫で、冬はアメリカ南部に渡ります。
沼地が活動の場というのがおもしろいですね。
飛ばずに逃げるという特徴がエピソード内で紹介されましたが、ホント、面白い鳥です。
エピソードの始めに、スペンサーが車に乗って登場しますが、乗っていた車は、ボルボ・アマゾン(Volvo Amazon)で、モデルは65型または66型とか。
実はスペンサー、シーズン3第2話「BAUの危機」で、音沙汰のないギデオンを心配して山小屋を訪ねた時もボルボ・アマゾンだったんです。
これ覚えていたら、冒頭で「あ、ひょっとして?!」って思ったかもしれませんね。
ただ、シーズン3と今回のエピソードでは車の色とナンバープレートが違うので
○シーズン3
出典
○シーズン10
出典
もしかしたら、2代目かもしれないですね。
スペンサーの車の趣味、なかなか渋いですよね。
ロッシと話が合いそう^^
とまあ、隅から隅までギデオンの人柄や思い出が散りばめられていて、本当に懐かしい気持ちで一杯になりました。
これでギデオンとはお別れですが(/_;)
「ギデオン帰ってきてくれたらな~」と、時々感じる気持ちともお別れすることが出来ました。
また新しい気持ちでクリマイを楽しめそうです^^
スポンサードリンク
ロッシ: "The bitterest tears shed over graves are for words left unsaid and deeds left undone." — Harriet Beecher Stowe
(「墓地で流される涙のうち何より苦いのは、伝えなかった言葉や、なさなかった行いを悔やむものだ。」ハリエット・ビーチャー・ストウ)
ホッチナー: "When a good man is hurt, all who would be called good must suffer with him." — Euripedes
(「1人の善人が傷つくとき、すべての善人が共に苦しむことになる。」エウリピデス)
アーモン・ジェイ「エッジ・オブ・ザ・ダーク」(Edge of the Dark by Armon Jay)