クリマイ世莉が解説!クリミナルマインド10第4話「不平のかゆみ」。
事故か事件かはっきりしない奇妙な死亡事件発生!
調べれば調べるほど出てきたのは…
虫!
思い込みは恐ろしい、虫が超苦手な人は要注意!
げっそりしそうだけどホッチたちのキレの良いプロファイリングは健在♪
クリミナル・マインドシーズン10第4話「不平のかゆみ(The Itcy)」のあらすじと感想です。
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ジョージア州アトランタのハイウェイで、アルバート・スティルマン(Albert・Stillman)が車にひかれて死亡した。
目撃者によると、スティルマンは錯乱状態に陥っていたという。
そのため、スティルマンの死は事件の可能性も捨てきれず、地元の警察は事件か事故かはっきりさせるため、ホッチナーたちに捜査協力を要請してきた。
スティルマンは地元紙のジャーナリストで、死亡する3日前から行方不明になっていた。
地元の貧困層や警察の腐敗、子供についての記事を書き、数々の賞にノミネートされたことがあるという実績を持つ。、
また、インナーシティの麻薬組織を追っていて脅されていたため、ギャングによる報復や、本人がドラッグに手を出し、それによる事故とも考えられた。
目撃者から詳しく事情を聞くモーガンとロッシ。
それによると、スティルマンは頭上を手で払いのけるような動作をし、「Get them off me(こいつらを取ってくれ)」と言っていたという。
ロッシは、「誰」ではな、く「何か」から逃れようとしてたことに注目する。
その後スティルマンの編集長が、遺体解剖の差止請求をしていたことが判明する。
ホッチナーとキャラハンはこの事実について問い合わせると、編集長は何も知らないと主張。
しかし、スティルマンが奨めた薬には興味を示さず、ヘロインなど安価な薬を乱用していた可能性があると編集長は予測。
司法解剖で薬物が検出され、「ジャンキー」と認定されるのは忍びない。
差止請求提出は、友人であるスティルマンの名誉を守るためだったのだ。
その後の捜査で、スティルマンが最後に連絡を取った昆虫学者のウィリアム・スリ(William Suri)博士であり、博士はバーネットカレッジで働いていることが判明する。
カレッジの研究室で争った形跡があるとの報告を受け現場に駆けつけると、スリ博士は何者かに誘拐されていた後だった。
ロッシは、スティルマンの死は事故ではなく事件だと確信する。
検死結果の報告を受けるリードとJJ。
スティルマンの体には粘着テープの跡があり、自分で自分の体をかきむしっていたため爪の中に自身の皮膚が残されていた。
腕にはヘロインを打ったとみられる注射跡を確認、最新のものは1週間前と推測され拘束されていた時期は禁断症状が出ていたと考えられる。
リードは、「犯人がわざとスティルマンに体をかきむしらせ粘着テープを剥がし、解放させた。犯人はサディストではなく、同じような症状を抱えている人物ではないか」と推測する。
さらにスティルマンの耳の裏にはミミズ腫れのような跡が見つかり、犯人が虫など何か外的刺激のあるものをスティルマンに与えた可能性が出てきた。
スリ博士の遺体が見つかる。
スリ博士の死因はハンドガンによるものだったが、虫に噛まれた痕があり、リードは博士の鼻の穴から、ゴキブリを発見する。
アンサブは「寄生虫妄想症」持ちで、犯行の理由はここから来ていると分析したホッチナーたちは、犯人のプロファイルを発表する。
寄生虫妄想症を理解してくれる人を探している可能性が高い。
捜査を進めているうちに、とあるモルジェロンズ病患者の支援グループが浮かび上がる…
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虫、虫、虫!
こんなに虫がうじゃうじゃ出てきたエピソードあったかな(ありましたね。シーズン8「転生」)というくらい、虫づくしの話でしたね(;・∀・)
虫好きにはたまらないかもしれないけど、私はちょっとげっそりしてしまいました。
食べながら見なくてよかった^^;
冒頭の、犯人の腕の中を這う虫のシーン。
リアルすぎて本当にゾッとしました。
それと、大量のゴキを被害者に這わせるシーン。
役者さんが気の毒になるほどで、エピソードどころではなかったです。
役者さん本気で叫んでいたんだろうな「やめてくれ」って。
寄生虫妄想症とか昆虫学とかモルジェロンズ病とか、全くと言っていいほど手付かずの分野なのでこんな世界もあったのか、という驚きもありました。
妄想も虫も怖い!
気持ち悪い意味でインパクトあって、一生忘れられそうにないエピソードです!
ひどい寄生虫妄想症に陥った犯人、レオ・ジェンキンス。
疾病管理センターの末端助手として働いていました。
その時に、帯状疱疹の症状を和らげるためと上司からワクチン摂取を受けますが、「ゴキブリの幼虫を摂取された!」と思い込み、それが彼の寄生虫妄想症人生の始まりでした。
ゴキブリの幼虫の注射には、アメリカ政府がかかわってる。
よ~し、スティルマンに記事を書いてもらおう!
くそ、スティルマンは錯乱してしまった。
よし、スリ博士に診てもらおう。
何?俺の血は正常だと?
虫が動いているのがわからないか?
くそ、スリ博士も使えなかった。
リサがFBI捜査官と会っている?
リサはFBIの回し者だな。
よし、ケリを付けてやる!
犯行の動機はこんな感じでしたよね。
すべて妄想から来ている!
誰も自分のことを信じてくれないし、助けてくれない。
そんな欲求不満でいっぱいだったレオですが、「その根拠は妄想から来てるから」といっても1ミリも信じないでしょうね。
まず自分が妄想に取り憑かれていることを自覚することが救いの始まりなんですけどね。
あ~、ヤレヤレ。
モルジェロン症候群のサポートグループを開催しているリサをホッチがインタビューする場面がありましたよね。
同じおむつかぶれクリームを複数の薬局で買っていたリサの行動に注目したホッチは、そこからリサが子供を失くしていることを推測しました。
するとリサは、未熟児で産まれた娘について、涙ながらにホッチに語りました。
治療で皮膚がぼろぼろになるほどのひどい肌荒れになってしまった娘。
母親として娘の役に立っているのだろうかと自問自答する毎日。
そんなリサの気持ちをくむような、優しい眼差しで見守るホッチ。
それが、この場面が好きな理由です!
ホッチにしてみればリサの性格を突いて犯人の情報を聞き出すことが目的ですが、それだけだったらこんな対応できませんよね。
ユーモアのセンスはなく、普段は鉄仮面のように仕事をしてますが、人の気持ちを理解できる、優しい人なんですよね、ホッチって!!
犯人と同じサポートグループにいたリサとジェーン。
ジェーンは最後まで犯人のことを信じきっていて、JJがいくら説明しても「うそつき!」と言い放ち、心を開くことがありませんでした。
思い込みって本当に怖い。
そんなジェーンの頑なさにすっかり落ち込んでしまったJJですが、今回の事件でリサは長年患っていた症状から解放され、前に一歩踏み出すことができたのでした。
この2人、とても対照的でしたが、JJの努力は無駄になってはいないということが証明されましたよね。
最後の緊迫したシーンで、ロッシが「ミラーボックス」という技(?)を使って難を逃れましたよね。
スキを突いて犯人を殴り、見事に御用!
まだまだ現役ですね♪
ちなみにミラーボックスは医療現場で実際に使われていて、いはずの腕が痛いと訴える幻肢痛の患者さんの治療や
脳卒中で麻痺した部分のリハビリに応用がすすめられています。
動いていないものを動いているように錯覚を起こし、脳に信じこませることで動くようになる、ということですが、脳って信じたことを真実として受け止める特徴があるんですね。
面白いな。
ロッシが、弱者の立場に立った記事を書いているスティルマンのことを「my kind of muckraker」と言いましたが、この「Muckraker」というのは不正追求者という意味があります。
もともと社会や政治的な不正を暴くという意味がありましたが、進歩主義の時代(1890年代から1920年代)では、活躍した改革主義のジャーナリストの代名詞に。
現在では従来の意味に近い調査報道や不正を追求するジャーナリストを表す言葉になっています。
今回犯人が持っていたのは、「寄生虫妄想」という、激しい思い込み。
実際に寄生虫妄想にかかっている人はいて、アメリカでは10万人中27人の割合で存在するということです。
⇒「体内に虫」妄想の難病、10万人に約27人も、米国 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
寄生虫妄想にかかると、寄生虫が体内に住み着いていると信じ込み、エピソードの犯人のように、寄生虫が体内を這いずり回っているような感覚にとらわれます。
それが不快で、体内から寄生虫を追い出そうと体をかきむしったり、時には皮膚を削るなどの行為に発展することも。
ちなみにエピソードに出てきたモルジェロン症候群ですが、皮膚の中に虫や繊維、有害物質などが入り込んで悪さをするという妄想で、寄生虫妄想と似ていますよね。
モルジェロン症候群が、虫以外のものも妄想の原因も含めるなら、寄生虫妄想症はその中のひとつ、と解釈してもよさそうですね。
面白いことに、寄生虫妄想にとりつかれている患者さんに「虫」を持ってくるように言うと、髪の毛やホコリ、ボタンなどを提出するそうです。
はたから見ると「単なるゴミでは…」と思うのですが、妄想に取り憑かれているとそれが虫に見えてしまうんですね。
「え、ただのゴミじゃん!」というのが普通のリアクションですが、妄想症の人からすれば「なんで信じてくれないの?」ってことになるのでしょうか。
エピソードでは、レオは自分の言っていることをわかってもらえなくて怒りをつのらせ、同じように感じてほしいと「仲間」を探していましたが、実際に妄想性になった人たちも、そんな欲求を抱えているのかもしれないですね。
寄生虫妄想になる原因というのははっきりしていませんが、虫に対する恐怖や抱えている不安、コカインなどの薬物使用などがきっかけになると考えられています。
一旦思い込むと、その妄想から解放されるのは至難の技のようで、治療はとても困難。
抗精神病薬といった薬物治療が行われますが、患者の方で「それよりも早く虫を取り除いて欲しい」と、治療を拒否するケースが多いからとか。
エピソードの犯人もそうでしたね。
もしかしたら、ロッシが行った「ミラーボックス」が一番いいのかもしれません。
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ホッチナー: "What's the matter, you dissentious rogues, that rubbing the poor itch of your opinion make yourselves scabs?" – William Shakespeare
「文句ばかりのごろつきども、不平のかゆみを引っ掻いて、かさぶただらけになりたいか」ウィリアム・シェイクスピア
JJ: "Getting rid of a delusion makes us wiser than getting hold of a truth." – Ludwig Börne
「真実を見つけるよりも妄想を取り払うほうが賢くなれる」ルートヴィヒ・ベルネ
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ルルーシュ「ゴールド・オン・ザ・リーブス」(Gold on the Leaves by Luluc)