クリマイ世莉が解説!
クリミナルマインド10第6話「ガラスの靴」。
イケメンでお金持ちの学生ばかりが狙われる事件がモンタナ州で発生中!
学生が嫌いな地元の住民による犯行?
口にケータイを突っ込むところを見ると、一筋縄では行かなそう、ここはやっぱりBAUの出番だ!
ジミーチュウのカタログから犯人像が!
こぼしたコーヒーから犯人の居場所が!
そして最後はスペンサー王子が締めくくるよ♪
クリミナル・マインドシーズン10第6話「ガラスの靴(If the Shoe Fits)」のあらすじと感想です。
モンタナ大学に通うダグラス・クラーク(Douglas Clark)が遺体となって発見された。
ダグラスは所有する高級車の横で倒れており、体には無数の刺し傷。
口には携帯電話が突っ込まれ、車の窓ガラスは割られていた。
ガルシアの報告によると、学生と住人との間でトラブルが発生したことが分かる。
先月地元の小売店主が学生が運転する車にひかれて死亡するという事件が発生するが、学生の父親が人脈が豊富で裕福な人物だったため、罪が軽くなったのだ。
この結果に怒った住民が、学生寮に火炎瓶を投げ込むという事態に発展、住民と学生の摩擦がエスカレートする懸念を感じた地元警察が、BAUに捜査協力を要請したのだった。
現場に向かう飛行機の中で、ホッチナーたちは新たな被害者が見つかったという報告をガルシアから受ける。
殺害されたケヴィン・ブルーベイカー(Kevin Brubaker)もモンタナ大学の学生。
被害者たちに共通するのはハンサムで裕福なバックグラウンド、そして高級車に乗っているなど、ハイステータスな点。
ダグラスの携帯には同性のポルノ画像が保存されており、ゲイということを周囲に気づかれないように女性とデートをしていた。
一方ケヴィンの場合は相手に知らせず、行為を盗撮している動画が見つかったことか、ら騎士道的精神を持つ人物の可能性が考えられた。
検死結果の報告を聞くモーガンとJJ。
ダグラスの方が傷はひどく、防御創があったが、2番めの被害者ケヴィンは足首と手首に拘束された痕が見られ、より「狙って」いるような刺し方が見られた。
検死医が注目したのは両方の被害者の首筋につけられていた深くて小さな穴が開られたような傷。
JJはジミーチュウのファッションカタログから、傷はおそらくスチレットヒールで開られたのでは、と推測する。
犯人は女性の可能性が高まった。
新たな殺人事件が発生してしまう。
被害者はやはり裕福なモンタナ大学の学生で、口には腕時計が突っ込まれていた。
さらに、腕時計のアラームは12時にセットされており、ダグラスの携帯も12時にアラームがセットされていたことと共通する。
ここでホッチナーたちは犯人のプロファイルを発表する。
プロファイリングの後、新たな事件が発生してしまう。
被害者は裕福な若者で、鈍器のようなもので殴られ、首にはピンヒールが刺さったまま、という凄惨な状態で発見された…
亡くなった恋人や身内がどうしても忘れられず、被害者をその人に仕立てようとする勘違いシリアルキラーは過去のエピソードに何度も登場していますが、今回の「シンデレラ」も、そのタイプですね。
相手がプリンス・チャーミングじゃないと殺してしまう。
なんかもう…
って言葉が無いですね(;・∀・)
冒頭は、不倫カップルが「(奥さんに)バラす」「やめろ」というありがちな喧嘩から、被害者の遺体を発見しましたが、この会話がなんか「あるある」といった感じで、挿入がすごく上手だな、と思いました。
結局バラすもなにも、バレちゃった、ッて感じですけどね、多分^^;
JJの姉、ロザリンドをめぐって、JJと母親がちょっとした口論をしましたが、締めはおとぎ話でつなげて、上手にエピソードに盛り込んでいたと思います。
エピソードが進んでいくとよくわかりますよね、犯人とJJの一件が「物語のありかた」というテーマでリンクしていることが。
そんなふうに見ていくと、最後まで勘違いな犯人にげっそりきてしまいましたが、話の展開としてはおもしろかったかな。
スペンサーがプリンス・チャーミングのフリをして最後は御用、となりましたが、スペンサーこの手の役が多いですよね^^;
「ガラスの靴」は、ホッチのアイデアですが、ホッチが代わりにこの役をやったら?
なんて考えたらちょっと見てみたくなりました(笑)
あと、エピソードの所々で、ケイトのキャラが光ったのも印象的でしたね。
誰も聞こうとしなかった「聖スコラスティカの日の暴動」について、スペンサーに話を続けさせようとしたり、こぼしたコーヒーから「おっちょこちょいで…クリーニング店!」とひらめいたり。
もうちょっとかな、キャラが定着するの。ちょっと楽しみです^^
ブラックシンデレラとも言える、今回の犯人。
クレア・ダンバー
出典
盗んだドレスで着飾って、裕福なイケメンに近寄ったり
時計を12時にセットして被害者の口に突っ込んだり
ガラスの靴を持った王子が現れるのを本気で待っていたり。
しかしびっくりするのは、その可憐な外見とは裏腹な、残忍な殺人行為!
車の窓をぶち破るわ、被害者を何度も刺すわ、殴りつけるわ、ピンヒールで踏んづけるわ…
女性シリアルキラーは男性に比べて少ないですが、やることが残酷で、とても冷酷な気がします。
例を挙げると
○アイリーン・ウォーノス
アメリカの女シリアルキラー。フロリダ州で、1989年から1990年にかけて7名の男性を殺害。
世の中全てを憎んでいたウォーノスは、逮捕後も再び殺人をすることを示唆。
1992年に5つの事件で死刑判決を受け、2002年に執行される。
⇒ アイリーン・ウォーノス(ウィキペディア)
○ジョアンナ・デネヒー
イギリスのシリアルキラー。
10代の頃から酒と麻薬に溺れ、暴力的だったデネヒーは、20代のときに「人を殺したい」という理由で殺人を実行。
その時の快感が忘れられず、男性をナイフで次々と襲っていった。
自分の犯行に対して全く悪びれる様子がなく、むしろ楽しんでいたというデネヒーは、2014年に仮釈放なしの終身刑を受けて服役中。
⇒ ジョアンナ・デネヒー(TOCANA)
アメリカにもカーラ・フェイ・タッカーという殺人鬼がいましたが、10代からヤク中で、相手を刺すときに絶頂にも似た感覚を得ていたというところは、共通点があります。
○ドロシア・プエンテ
アメリカのシリアルキラー。
看護施設を経営し、社会的弱い立場にある貧困層の面倒を見ていたプエンテは、1980年代なかばころから入居者の毒殺を始める。
1986年、プエンテの庭から悪臭がするとの通報を受けた警察が庭を掘り起こすと、被害者の白骨化した遺体が次々と発見された。
入居者が受給している年金を目当てに7名の入居者を毒殺したプエンテは、終身刑を受け2011年獄中死。
他にも、付き合ってる相手に「子供は邪魔」と言われ、我が子を皆殺しにしたり、お金のために血のつながってる家族を毒殺したり、入院している子供を次々と毒殺したり…
女が犯人の殺人事件はたくさんありますが、「目的のためなら鬼にもなる」という特徴が感じられます。
「シンデレラ」は多くの女の子に愛される物語ですが、クレアの場合は常軌を逸していましたよね。
精神疾患を患ってる母と幼い頃に離れ離れになり、父親に育てられましたが、その父親にも捨てられた。
さらには父は後に小児性愛者として犯罪を犯し逮捕され、獄中死。
里親にも満足に育てられず、貧困の中、心の支えがシンデレラ物語。
そして、現実逃避するようにシンデレラそのものになろうとしていました。
相手が体だけとわかった瞬間に憎悪を燃やし、破滅させる。
精神破綻してますよね、ここまで来ると。
最後スペンサーが、プリンス・チャーミングになりきってましたが、それを疑いもせず受け入れたクレア。
そのガラスの靴、凶器でしょ、あんたの!!
って、ツッコミも耳に入らなそうなうっとりした顔。
それがすごく怖かったです(汗)
JJの息子ヘンリーが久しぶりに登場。
随分と大きくなりましたね!
A.J.クックの実の息子(メカイ君)ということもあり、その成長ぶりはすごく興味があります。
お母さんにどんどん似てきてる気がしておばさんとしては嬉しいですよ。・゚・(ノ∀`)・゚・。
このまま順調にイケメンに育ってね~♪
自殺した姉、ロザリンドについて、幼いヘンリーに本当のことを話すべきという母と、死ということがよくわからない子どもにはまだ早い、と対立するJJ。
お母さんにしてみれば、娘から発せられていた「自殺の兆候」を見て見ぬふりをしたことが自殺につながったのでは、という後悔の念が残っているのでしょうね。
ロザリンドの話をしないということは、真実にふたをするのと同じこと。
だからお母さんとしては、幼いヘンリーにも、ロザリンドの存在を伝えたかったのだと思います。
JJも、お母さんの言葉にぐさっとくるものがあったのかもしれませんね。
でも、ウィルと出した結論ですし、ヘンリーが理解するのを待って伝えるのもまた一つの選択です。
おとぎ話が必要かどうかということは置いといて、ロザリンドのことをヘンリーにどう伝えようかいろいろと悩みながら結論を出したJJからは、ヘンリーのことを真剣に考えている姿が伝わってきます。
仕事中にJJがスペンサーに母親とのことを話しますが、「物語は、子どもたちが恐怖と安全に向き合うためのもの」というスペンサーの言葉にハッとするJJ。
物語に対する見方を見直したようですよね。
最後のほうでJJがヘンリーに「おとぎ話」を話して聴かせるシーンがありましたが「あ~、JJもママなんだなあ」ということを改めて実感しました。
子供のことを考えるJJ、本当にいいお母さんぶりが光ってました!
ガルシアのさりげない一言には、最上級のジョークが詰まってますよね。
洒落たジョークを言うロッシとはまた違ったセンスが好きです。
今回のエピソードにも気に入ったセリフが出てきました。
ロッシが容疑者と思われる人物を特定したとみられるガルシアに向かって
「プロファイルにフィットしたかい?」と聞きますが、その時に
"As snugly as I fit into the chiseled arms of Derek Morgan"
といいました。
「chiseled arms」って、ボディービルダーのように、ほぼ完璧な形で筋肉が盛り上がった腕のことを言うのですが、その腕に腕枕されてるときのように、(プロファイルに)フィットしてるってことですね。
つまり、モーガンの腕は、腕枕されるのにピッタリの腕、ってことなんでしょうか。
「なるほど!そんなぴったりなのか」って、ロッシが思うだろうか(笑)
って、表現ですね。
私はなんとなくわかるけど^^;
そんなに心地良なら、腕枕されたい~。
事件が学生 VS. 住民ではないか、と議論された時にスペンサーが事例に出したのがこの事件。
スペンサーは1335年と言っていましたが、実際に起きたのは1355年。
イギリスのオックスフォード大学生と、地元住民による争いです。
1355年の聖スコラスティカの日、パブで飲んでいた2人の学生がワインの質の悪さに店主に文句を言った上、ワインを投げて店主を殴りました。
学校側がこの学生の処罰を拒否したため、怒った住民が武器を持って大学に押しかけ、暴動が発生。
暴動は3日間続き、学生や市民を含む多数の死傷者を出しました。
この頃学生と町民の関係は緊張関係にあり、一触即発状態だったといいます。
大学のほうが権力を持っていたため、市長は責任を取って投獄されるという事態に。
その後毎年2月10日の「聖スコラスティカの日」には、市長ら幹部が懺悔のミサに出席することと、大学側に罰金を支払い続けることが取り決められました。
政治より大学。
すごい時代ですね~。
罰金の支払いは、1825年当時のオックスフォード市長が拒否するまで実に470年間も続いたそうです!
今回の犯人は、ハイヒールを凶器に使いましたが、ハイヒールが凶器になった事件は実在しました。
アナ・トルヒーヨは、2013年口論になったボーイフレンドをスチレットヒールで被害者の頭や顔を攻撃、25箇所を刺して殺害しました。
トルヒーヨはこの事件で裁判にかけられ終身刑を受けています。
口論になったからといって、ここまでするでしょうか?
ハイヒールも狂気になってしまうんですね。
恐ろしや…
JJ: "Deep vengeance is the daughter of deep silence." Vittorio Alfieri
(「すさまじい復讐は、すさまじい沈黙の娘である」ヴィットーリオ・アルフィエーリ)
リード: "The gift of fantasy has meant more to me than any talent for abstract, positive thinking." Albert Einstein
(「どんなに無駄がなく確かな思考力より、空想する才能の方が私には意味があった」アルバート・アインシュタイン)
タップス「ワット・ハヴ・アイ・ダン」(What Have I Done by Taps)