クリマイ世莉が解説!
クリミナルマインド12第9話『プロファイラー専科』。
ロッシの宿敵、トーマス・イェーツ登場!
脱獄したイェーツが、新たな犯行に手を染める。
予告電話を受け取るロッシ、でもすんでのところでいつも逃げられる展開に、こっちもハラハラ・ドキドキ、そしてくっそー!
ロッシとイェーツの決着はいかに?!
クリミナルマインド12第9話『プロファイラー専科(Profiling 202)』あらすじと感想です。
スポンサードリンク
FBIでプロファイリングの研修プログラムで講師を務めるロッシ、プレンティス、ウォーカーの3名。
その日の講習が終わり、プログラムに参加していたクラークFBI地方局コーディネーターが、「誕生日のプレゼントに」と、ロッシにスコッチを手渡そうとする。
しかしロッシは、「誕生日は祝わない」としてプレゼントを受け取らず、足早にその場を後にした。
ロッシの態度に困惑するクラークに、プレンティスはロッシが不機嫌になっている理由を説明する。
トーマス・イェーツは、1990年代後半に、全米を震撼させたシリアルキラー。被害者は推定で100人以上になると言われている。
イェーツはロッシと司法取引をし、逮捕後年に1度、ロッシに1人ずつ発見されていない被害者の名前と、遺体遺棄現場を伝えていた。その「年に1度」が、ロッシの誕生日だった。
イェーツは、刑務所のロックダウンに紛れ、ほかのシリアルキラーと共に逃走した。
そして、今日はイェーツが脱獄してから初めての、ロッシの誕生日なのだ。
ロッシのもとに、イェーツから電話がかかってくる。
イェーツは、ジョディ・ウィルソンという女性を拉致し、新たな被害者としてロッシにジョディを遺棄する場所を告知した。
イェーツの告知通り、ジョディは生殖器や声帯などが切断された状態で発見される。
明らかにイェーツの手口と見られた。しかしジョディは、イェーツがターゲットとしていた娼婦や家出人ではなく、どちらかというとローリスクに分類される生活を送っていた。
ジョディの母親から事情を聞いたロッシは、ジョディが2,3ヶ月前にジョニーという男と出会ったことを知る。
そして、ジョニーと名乗る男こそイェーツだった。
イェーツは被害者を人間として扱わない傾向がある。にもかかわらず、被害者のジョディはイェーツの恋人だった。
さらに、検死の結果、ジョディの胃には、食べ物が残されていた。イェーツはジョディに対し、普通に接していたことになる。
イェーツが犯行の手口を変えたきっかけは何かわからない。しかし、唯一わかることは、新たな被害者を物色しているということだけだった。
ロッシのもとにイェーツから再び連絡が来る。
被害者の名前は「レジーナ・フランクリン」。
前回同様、イェーツはロッシに被害者の遺体遺棄現場を予告し、レジーナの遺体は実際にその場所で発見された。
今回も従来のプロファイリングに当てはまらない行動を取ったと分析するJJにロッシは、「イェーツは俺の自尊心を傷つけたいようだ」との見解を示す。
イェーツは、ロッシとの会話で、「いつ終わりが来るかわからない」と、脅迫めいた言葉を口走っていた。
それを聞いたウォーカーは、イェーツの声のトーンから「遺された時間が少ないのは、ロッシではなくイェーツ本人ではないか」と指摘する。
そして、イェーツの診療録とレジーナの遺体に残されていたイェーツの血液を調べると、イェーツが肺がんを患っていて余命が僅かであることがわかった…
スポンサードリンク
ロッシの宿敵、イェーツとの対決が終わりましたね。
イェーツが登場したのはシーズン7でしたが、今回は、当時のエピソードとリンクさせながら楽しめました。
ロッシがメインのエピソードだから、言わなくても当たり前なのですが、ロッシのカラーが良く出ているような、そんな内容だったと思います。
ロッシの人生の一部にもなっているイェーツ、そしてそのイェーツは病魔に冒され、最期の日が迫っている。
そんな「人生」がハイライトされたからでしょうか、内容に重みを感じました。
イェーツがどこに現れるか、最後はドキドキしましたが、ロッシ邸の庭だったとは。
しかも大きな木の下。
ロッシは人質を助けるためにイェーツに向かって引き金を引きました。
状況が状況だから仕方ないけれど、これで残りの被害者たちの遺棄された場所が、永遠にわからなくなってしまったと思うと、もやもやが残ってしまいましたね。
イェーツは、ロッシの中に永遠の居場所を見つけてしまった、そんな感じの終わり方でした。
今回のエピソードの原題は、"Profiling 102"です。そして前回が"Profiling 101”。
前回のエピソードでは、ロッシらBAUメンバーが、大学でイェーツの事件について講義するという設定でした。
イェーツは典型的なシリアルキラーで、
というふうに、描かれていました。
今回のエピソードでも、イェーツの事件は、FBIプロファイリングの研修で取り上げられていました。
この設定は、前回を意識したものなんでしょうね。使い回しが上手(笑)。しかも、2つのエピソードをとても自然にリンクさせています。
イェーツは、今回のエピソードでも、シリアルキラーっぷりを全開させていましたが、末期がんで残されている日々はわずか。
残りの日をシリアルキラーとして突っ走るだなんて、やはり殺人者の考えることは、普通の人と異なりますね(汗)。
今回は、ロッシを長年煩わさせ続けたシリアルキラーが犯人でした。
トーマス・イェーツ
子宮を切り取るのは、生まれてきたことを憎み、母親を憎んでいる証拠と言われるほど、複雑な生い立ちを持つ犯人でした。
父親は母親をレイプした相手で、その母親はイェーツを産み落とすと死亡。預けられた祖父母もイェーツを虐待しました。
「愛する」「愛される」ということを学ぶには、程遠い環境でしたね。
このように生い立ちが不幸で、しかも長年ロッシと関わりがあるので、もう少しイェーツに気持ちが入ってもいいんじゃないか、と思うのですが、遠いんですよね~、存在が。
おそらく、残虐な部分ばかりがハイライトされてしまい、プライベートがあまり描かれていないからかもしれないですね。イェーツが登場するのは、ロッシとの会話か犯行のシーンだけですし。後のことは人づてに知るような感じですからね。
描き方によってはラスボス系のシリアルキラーにもなれたと思うんですけど。
その点からすると、『ナチュラル・ボーン・キラー』の犯人同様、もったいないような気がします。
エピソードの中に、現実っぽいと思った場面がありました。
研修の最後、ロッシは受講生たちに、捜査を担当する事件の中には、自分の人生や人格にまで影響を与える事件もあるような話をしましたね。プロファイラーなら誰でも感じることなのではないか、と思いました。ロバート・レスラーさんも、ニーチェの格言(「おまえが深淵を覗き込むとき、深淵もおまえを覗き返している」)を戒めにプロファイラーの仕事に励むよう事あるごとに言っていましたよね。
それから、プロファイリングのクラスで、プロファイラーの見込みがありそうだったクラーク捜査官が、研修終了後「仕事を家庭に持ち込みたくない」として、プロファイラーにならない選択をしました。こうしたことも、現実的にありそうですよね。
どちらも、実際に体験した人の話をベースにしているような気がしました。
現実的にありそうなことをエピソードに盛り込むことで、ドラマドラマしていない仕上がりになっていたと思います。
イェーツの暴走を止めることができず、根を詰めるロッシに、エミリーが
"You keep burning the candel at both ends, there won't be much of you left."
(キャンドルの両端を燃やしているから、燃え尽きてほとんど残っていないわよ。)
と、声をかけました。
面白い表現だなと思って、調べてみました。
"Burning the candelat both ends."というのは、朝から晩まで駆けずり回り、労力を無駄に使い果たすという意味に用いられます。
その他にも、「お金を浪費する」「2つのことに対して、同時にエネルギーを消費する」という意味もあるそうです。
通常キャンドルは、片方に火をともして使いますが、それを両端から燃やすのですから、相当無理している、というニュアンスが伝わってきますね。
エピソードのロッシはまさにその状態でしたので、とても的を射た表現だと思いました!
スポンサードリンク
ロッシ: "What madness is it to be expecting evil before it comes?" – Lucius Annaeus Seneca
(「悪の訪れを期待するとは、何たる狂気」ルキウス・アンナエウス・セネカ)
ウォーカー&ロッシ: "The life of the dead is placed in the memory of the living." – Cicero
(「死者の命は、生きる者の記憶に留まる。」キケロ)
この格言は、クリミナルマインド2 第16話『見えない恐怖』でも引用されています。