テキサス州で発生した、民家の爆発は、保安官も巻き込まれる惨事に発展!
民家を爆破し、さらに駆けつけた保安官たちを撃ち殺す、悲情な犯人の素顔とは?
冷静なリードが今回はすごく感情を捜査中に爆発!
リードの過去は、犯人にも通じてる!?
クリミナル・マインドシーズン3 第16話「トラウマ(Elephant's Memory)」のあらすじと感想です。
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「正しい警官の集い」のミーティングに参加したリードは、そこでジラウジッド中毒を10ヶ月前に克服したものの、1ヶ月前にある事件で容疑者が目の前で殺害されて以来、再び渇望症状に悩まされていることを告白する。
ミーティングの途中で事件発生の連絡が入り、足早に会場を去ろうとしたリードの後ろから、FBI高官のJohn(ジョン)が声をかけてきた。
そして、「薬物の使用をやめて1年経ったら返してくれ」と、肌身離さず持ち歩いていたメダルをリードに渡す。
BAUが捜査協力をする今回の事件は、テキサス州にある小さな町、ウェストビューンで起こった。
ある民家が爆発し、現場に駆けつけたLou Savage(ルー・サヴェージ)保安官と、Letts(レッツ)保安官が射殺された。
さらに、爆発後からこの民家の住民と見られる、父娘、Rod Norris(ロッド・ノリス)とジョーダン(Jordan)の遺体が発見される。
テロリストによる可能性も考えられたが、現場を検証したホッチナーたちは、ロッドがタバコを吸いながら家の裏口から入ってくるのを知っていて、それを爆弾が爆発するように仕掛けをしたり、すでに死亡しているサヴェージ保安官の顔を撃つなど過剰殺傷していることから、ロッドとサヴェージ保安官に恨みを抱く者の犯行と推理する。
Bart Hallum(バート・ハラム)の話で、ジョーダンとサヴェージ保安官の息子、Owen(オーウェン)が付き合っていることを知る。
ホッチナー、リード、モーガン、ハラム保安官が、サヴェージの家を訪れたが、そこにはオーウェンの姿はなかった。
家の中を見まわり、妻や息子の写真が一枚も飾られていないことから、妻が飲酒運転で事故死し、12年間勤めていた海兵隊をやめて、オーウェンを育てていることに不満を持っていたのでは、と、ホッチナーたちは分析する。
さらにモーガンとリードは、ジョニー・キャッシュのポスターや黒い服、黒く塗りつぶされた鏡など、黒ずくめのオーウェンの部屋をみて、オーウェンが、激しい自己嫌悪を抱いている孤独な少年だと考える。
そして、サヴェージ家にあった銃が入っているはずの銃保管庫の中は空っぽだったことから、オーウェンが容疑者として浮上する。
新たな殺人事件が発生した。
殺害されたのは、オーウェンの高校の先輩で、19歳のKyle Borden(カイル・ボーデン)。
勤め先のコンビニで顔面を撃たれて殺害されており、車がなくなっていた。
カイルに抵抗した跡がないのに、顔面を撃つということは、オーウェンはカイルを憎んでいた可能性がある。
さらにロッシとプレンティスは、牛乳やピザ、冷凍食品などはなくなっているのに、水が盗まれていないことから、オーウェンは遠くに逃げる意志はないと気がつく。
それをハラム保安官に伝えると、保安官は、発見されたジェーンの遺体は遺体ではなく、ハムや骨付き肉が詰められたものだったことを告げる。
ジョーダンはオーウェンと一緒に潜伏しているのだ。
オーウェンに誘拐されているのか、それとも共犯者なのか?
オーウェンとジェーンの行方を必死に捜索するホッチナーたちだったが、やがてオーウェンの壮絶な過去が明らかになる…
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家を爆破したり、駆けつけた警官を殺したり、なんて犯人だ!
と思っていたのですが、一人の少年の犯行だったんですね~。
オーウェンは母親を失い、父親から愛されず、さらに学校でいじめられていたわけですが、その憎悪が膨張して殺人に走る、スクールシュータータイプ。
といっても、スクールシューターほどの無常さや残酷さを感じないのは、ジョーダンという愛情を注げる対象がいて、優しい部分があるからでしょうか。
どこか憎めない部分を持っていました。
といってもオーウェンのことを考えれば同情する部分もあるけど、やっと見つけたジョーダンとの愛を守るためというのも分からないでもないけど、自分の思いを遂げるために関係のない人命も奪ってしまったわけですからね。
やっぱり許されることではないですよね。
ミーティングに参加していたスペンサーですが、BAUから呼び出しがあったため会場を去ろうとします。
その時スペンサーを呼び止めたのが、「ジョン」なる人物。
スペンサーが「あなたのような地位のある人に会えるとは」と言っていたことから、FBIでは相当な地位にある人なのでしょう。
そのジョンが、お忍びでスペンサーに手渡したのが、メダル。
といっても単なるメダルじゃなくて、ジョンでさえ「手に入れるのに6年かかった」というほど、貴重なものらしいです。
ジョンは、過去13年間、このメダルを肌身離さず持ち歩いていたといいますが、その大事なメダルをスペンサーに期限付きで手渡しました。
この時、
と、一気に疑問が出てきました!
クリミナルマインドは、シーズン13まで見ましたが、「ジョン」は、このエピソード以降一度も登場していません。
なので、FBIの高官という以外その素性は謎に包まれたままです。
スペンサーとジョンの関係についてもほとんど触れられていません。
でも、
ところを見ると、2人は個人的につきあいがあるというわけではなさそうです。
個人的な見解ですが、スペンサーはジョンのことを以前から知っていたけど、ジョンはミーティングで初めてスペンサーを知ったと思います。
あと、エピソードの最後のほうでスペンサーがメダルを取り出すシーンがありましたが、これを描きたいがためにジョンのエピソードを挿入したのかもしれないですね。
ジョンはこのメダルを「ワン・イヤー・メダル」と呼んでいました。
調べてみたら、これは禁酒を成功させるためのコイン。
アルコホーリクス・アノニマスは、1953年に設立された飲酒問題に取り組む組織ですが、初期の活動を支えてきたシスター・イグネシアは、メンバーに「最初の飲酒をする前に返す」よう、メダルを渡していたと言います。
ウィキペディア(英語版)によりますと、メダルは禁酒期間によって種類があります。
※参考:Sobriety coin(ウィキペディア)
色は同じでも、こんなふうにメダルの表面には数字が書かれていて、何ヶ月禁酒しているのかが分かるようになってるんですね。
ジョンがスペンサーに手渡したのは、ブロンズメダルでした。
ちょっとわかりにくいですが、1年間禁酒した印のワン・イヤー・メダルだと思います。
こちらがそのブロンズメダル。
出典
ジョンが「6年かかった」と言ったのは、探して6年じゃなかったんですね。
「このメダルを身につけてないと、家などすべてを失う」と言ったのは、酒で身を滅ぼすという意味だったんですね。
なるほど。
スペンサーが「まだ10ヶ月しかできてない」と言った意味もわかりました。
1年間という期限付きでメダルを受け取ったスペンサーですが、約束を果たしたのでしょうか。
知りたいなあ~。
BAUに駆けつけたスペンサーですが、他のメンバーたちはスペンサーがミーティングに出ているとは知らず。
ロッシ:「(遅刻してくるだけの)価値のある彼女だといいな」
モーガン:「"彼女"だったらいいな」
と、スペンサーをからかいます。
スペンサーの苦悩も知らずに。
ここは、ムッと来るところなのだろうか。
でも、思わず笑ってしまいました。
緊張感なさすぎというのと、スペンサーが必死になってごまかしていたので。
ごめんね、スペンサー。
今回の事件でスペンサーが珍しく感情的になるんですね。
オーウェンのいじめを知ってて何もしない学校や、オーウェンがここまで追い詰められる前に防げたはずだ、と、保安官に八つ当たりしたり。
それでホッチに怒られて、モーガンのいるサヴェージ家に行けと命令されるてしまいますが、スペンサーの、オーウェンのことを何も理解しようとしない周りにイラッときているのかがよくわかりましたよね。
サヴェージ家でスペンサーは、モーガンに昔のイジメ体験を告白します。
サッカーチームに所属する女の子に会いにいったら、裸にされ、ゴールポストに縛り付けられた、と。
周りにみんないたのに誰ひとり助けてくれず、ただ見ているだけ。
そのうち子どもたちは飽きてスペンサーを置いて帰ってしまいますが、いつもより遅く帰宅したスペンサーの異変に、スペンサーのお母さんは少しも気が付かなかった。
それもショックだったらしいです。
スペンサーにそんな過去があったなんて!
言いながらスペンサーの目にうっすらと涙が浮かぶんですが、こっちの目からは大量の涙が溢れ出てました~(ToT)
スペンサーがなぜ、感情的になったのか、理由はここにあったんですね。
被害者を爆殺するなど、おぞましい事件を引き起こした犯人は、ティーンエージャーでした。
オーウェン・サヴェージ
出典
殺されたサヴェージ保安官の息子だったとは。
実の父を過剰殺傷したのは、ジョーダンとの交際を反対されていたからといった未熟な理由。
さらにジョーダンと逃避行を決め、人んちに勝手に上がり込んで、持ち主が帰ってきたら殺してしまう。
ティーンエージャーだから仕方ないけど、本当に行動が子供じみてますよね。
母を亡くし、父には厳しく育てられ、友人からは辱めを受けてきたオーウェンにとって、ジョーダンだけが心の拠り所だったんでしょうね。
そのジョーダンも、オーウェンの凶行を知って逃亡。
最後は保安事務所にライフルを持って乗り込もうとしたオーウェンでしたが、スペンサーの捨て身の説得で投降。
自分と同じように心に傷を負っていたオーウェンが命を落とすことも、他の人を傷つけることもさせたくなかったんでしょうね。
必死に説得するリードの優しさが出ていた場面でした。
典型的な破滅思考を持つ犯人として描かれてますが、オーウェンの過去を知ると、完全には憎めず、射殺されずに逮捕されたときはホッとしました。
スペンサーは、いじめのことをこれまで誰にも言わず、胸の中に閉じ込めていたんですね。
人に言わなければ、そのうち忘れていくだろう。
そういうふうに考えていたからですね。
でも、記憶はスペンサーの思いとは裏腹に、まるで昨日のことのように覚えている、と、その切ない気持ちをモーガンに吐露します。
それを聞いていたモーガンのセリフです。
"You know, we forget half of what they teach us in school. But when it comes to the torment and the people who inflicted it, we've all got an elephant's memory."
(知ってると思うが、学校で教わったことの半分は忘れてしまうんだ。だけど、(心に)傷を負うようなことを体験すると、それをエレファントメモリーとして抱えるようになる)
エレファントメモリーは、直訳すると「象の脳」。
象って、陸生動物の中で一番大きな脳を持っているんだそうです。
だから、象は昔の記憶も決して失わないと信じられているんですね。
私の相方(外国人)談ですが、「エレファントメモリー」は、「忘れない記憶」「長い間覚えている記憶」という意味で使うんだそう。
モーガンの会話にもどりますが、よく、いじめた方は忘れるけどいじめられた方は覚えていることが多い、といわれますよね?
モーガンはそのことを言いたかったのではないでしょうか。
忘れたくても忘れられない記憶、それがトラウマのようにその人に襲いかかって悩ませる。
今回のエピソードの原題は、「エレファントメモリー」ですが、そういった意味が込められてつけられたのかな~、と思います。
最後の機内で、スペンサーがジョンからもらったメダルを取り出しましたよね。
スペンサーは、再び鎮静剤に手を出したくなる欲望に悩まされていましたが、そのきっかけが、目の前で容疑者が殺されてしまったからでしたよね。
今回は、無事に容疑者を逮捕できました。
ホッとした表情でメダルを見つめているスペンサーには、何か吹っ切れた感が出ていましたよね。
ジョンはメダルを手渡す時に、「このメダルを持つ意味がわかるさ」と言いましたが、スペンサーはそのことに気づいたのではないのでしょうか。
そんなラストでしたね。
ますますジョンの素性と、続きが知りたくなってしまいました!
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リード: "A sad soul can kill you quicker – far quicker – than a germ." – John Steinbeck
(「悲しみは病原菌より素速く 人を死に追いやる」ジョン・スタインベック)
リード: "We cross our bridges when we come to them, and burn them behind us with nothing to show for our progress except a memory of the smell of smoke and a presumption that once our eyes watered." – Tom Stoppard
(「我々は橋に行き当たるとそれを渡り、焼き落とす。進歩の証となるのは煙のにおいの記憶と、かつて目に涙したことがあったかもしれないという推測だけだ」トム・ストッパード)
ジョニー・キャッシュ「ザ・マン・カムズ・アラウンド」(The Man Comes Around by Johnny Cash)
ジョニー・キャッシュ「ハート」(Hurt by Johnny Cash)