スペンサーの夢の中。
スペンサーはオックスフォード大学の図書館に座って本を読んでいる。
ウエイターにダブルエスプレッソを注文するスペンサー。
そして「私はノンファットラテ」と、注文する声が。
スペンサーの目の前に座っていたのはメイヴでした。
ここからのやり取りがとても好きなのでそのままご紹介しますね。
メイヴ:"Fancy meeting you here."(こんなところで会えるなんて)
スペンサー:"Hi."(やあ)
メイヴ:"Hi."(ハイ)
"Did you know Sir Arthur Conan Doyle probably sat right here drinking his coffee about 130 years ago?"
(知ってた?約130年前サー・アーサー・コナン・ドイルはここに座ってコーヒーを飲んでたかも知れないのよ)
スペンサー:"I think he probably drank tea."(たぶん飲んでいたのは紅茶だと思うけど)
"You know, given his comment that the tea fields of Ceylon are as true a monument to courage as is the lion at Waterloo."
(ドイルの言葉を借りれば「セイロンの紅茶畑は『ワーテルローライオン』のような真の勇気の記念碑だ」)
※ここはちょっと説明がいりますね。『セイロン』は現在のスリランカのことで、かつてはイギリス連邦の自治国でした。
英国はセイロンで茶畑の開拓を進め、大規模なプランテーションや紅茶工場が誕生しました。セイロンの茶畑を上から見ると、地上絵のような、模様に見えるという特徴があります。『ワーテルローライオン』は、
ワーテルローから南南東に5kmほど離れたモン・サン・ジャンにあるライオンの記念碑のこと。1815年の「ワーテルロー」にちなんだ記念碑ですが、この戦いで、ナポレオン率いるフランス帝国軍は、英国ら同盟国に大敗を喫しました。
ドイルは、セイロンに巨大な茶畑を発展させた英国の偉業に、ライオンの記念碑を重ねて見ていたようですね。
メイヴ:"Spencer."(スペンサーったら 笑)
スペンサー:"And this is Oxford."(そしてここはオックスフォード)
"Didn't sir Arthur Conan Doyle go to school at the University of Edinburgh?"
(サー・アーサー・コナン・ドイルは、エジンバラ大学へ行ったんじゃなかったっけ?)
メイヴ:"Are you gonna argue with everything I say?"
(私が言ったことに反論する気? 笑)
スペンサー:"No, of course not."(いや、もちろん違うよ)
メイヴ:"You know, there is such a thing as too much logic."
(ロジックありすぎるわね)
満面の笑みを浮かべながら会話する2人。
メイヴが生きていたら、きっとこんなふうに過ごしていたんだろうなあ、と切なさがこみ上げてきました。
でも、スペンサーと会話していると、どうしても理論的になってしまうようですね。
メイヴはうんざりしているわけでもありませんが、せっかくの時間をもう少し違ったことに使いたかったようです。
ここで突然レコードがかかります。
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メイヴは立ち上がり、「ダンスして」とスペンサーに手を差し出しました。
「なんで?」と聞き返すスペンサー。
何も聞かずにダンスしてあげなよ!
と、突っ込んだのは私だけではないでしょう。
スペンサーらしい反応ですけどね(笑)
その次のメイヴのセリフが最高でした。
メイヴ:"I want to hold you once before I'm a ghost of a memory."
(抱きしめてほしいの。記憶のカケラになる前に)
「ghost of a memory」って、幽霊のような、うっすらとした記憶という意味だと解釈しました。
永遠にメイヴを忘れたくなくて眠れなかったスペンサー。
そんなスペンサーの気持ちを理解していたかのような、メイヴのセリフでした。
さすがのスペンサーもメイヴの気持ちに気づいたようですね。
しっかりと抱き合い、最初で最後のダンス。
2人の気持を考えると、「切ない」意外に言葉がありません(涙)
センチメンタルになる場面ですが、何度も見たくなるんですよね。
印象に残る、とてもいい場面でした。