このワーズワースの格言は、クリマイ3エピソード19「記憶を失くした殺人犯」の最後のほうで引用されました。
イギリスのロマン派詩人であり、桂冠詩人でもあるウィリアム・ワーズワース。
この文章は、彼の著書、「幼年時代を追想して不死を知る頌(しょう)」の一節から引用されたものです。
この格言に惹き込まれたのもそうですが、引用された場面がとても忘れがたいものだったので、ここでご紹介してみようと思います♪
事件が解決して翌日の新聞のニュースになる前にと、リードは被害者の父、コーベットを訪ねて事件の結果を報告します。
そして、証拠品として警察側で保管されていた被害者の遺留品の腕時計を手渡すスペンサー。
スペンサーは続けて、時計の裏に刻まれていた語句「草花の栄光」には馴染みがないとコーベットに言います。
読書好きのリードが、ワーズワースの詩を知らないということはないんじゃない?!
コーベットに言わせようとわざと知らないふりしたり、なんてちょっと突っ込んでしまったんですが^^;
リードの思惑通り(?)
コーベットはその一節を暗唱し始めました。
"What though the radiance that was once so bright
Be now for ever taken from my sight
Though nothing can bring back..."
(かつてキラキラ輝いていたものが
今や永遠に失くなってしまったとしても
たとえそれが還らなくても…)
コーベットはここまで言いかけて感極まり、それ以上続けることができませんでした。
娘さんがその”輝き”でもう永遠に戻ってくることはない、と思うと、大きな悲しみに襲われてしまったんでしょうね。
「ありがとう」とスペンサーに言いドアを閉めます。
その後スペンサーが、コーベットの代わりに続きを引用するのですが、これがこのエピソードの2番めの格言になります。
"Though nothing can bring back the hour
Of splendour in the grass
Of glory in the flower
We will grieve not
Rather find
Strength in what remains behind"
(あの草原の輝きや草花の栄光が還らなくても嘆くのはよそう。残されたものの中に力を見出すのだ)
(訳引用:スーパー!ドラマ)
詩はあまり読まないですが、これを聞いた時にすごく心に響きました!
コーベットと重ねてしまうというのもありますし、娘を失くしたコーベットを励ますにふさわしいというのもありますし、草原や野に咲く花を頭のなかにイメージして、なんていうのか…
すごくセンチメンタルな気持ちになりました。
心をすごく揺さぶられますよね、この一節は。
ワーズワースの才能もそうですが、これを絶妙なタイミングで引用するというクリマイ制作陣もやっぱりすごいです!
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ワーズワースのこの一節はすごく有名なんですね。
「幼年時代を追想して不死を知る頌(しょう)」というワーズワースの詩の中の一節ですが、その中では、詩の中に出てくる”輝き”は、子供の頃に感じる喜びや夢といったような気持ちのことを指していて、それが大人になるに連れ失ってしまう。
そういった感情を取り戻すことができないとしても嘆かず、草花の奥に宿る命の秘められた力のように、生きる歓びを見出そう、といったような意味合いがあるんですね。
といっても、受け取る人によってその意味合いは変わってくるというのも詩の醍醐味で、コーベットのように、娘は二度とは帰ってこないが、それでも力強く生きる、という活力を与えてくれる力を、この一節は持っていると思います。
私もあまりにもこの一説に感銘をうけたのでワーズワースの詩集速攻で買ってしまいました^^;
あ、あと、この一節が引用されたという映画「草原の輝き」も観てみたくなりました~。