これは、クリミナルマインド1「蘇ったシリアルキラー」で引用された格言です。
ドラマに関係なく、普通に聞いても勇気が貰えそうな格言ですよね。
でも、このエピソードで印象深い場面を観た時、このリンカーンの格言が心に響いたんです。
なので、場面と一緒に、感じたこと書いてみようと思います。
「蘇ったシリアル・キラー」では、ライアン元FBI捜査官が長年追いかけていたキーストーンキラー事件が無事に解決します。
事件解決後、クワンティコに向かう機内でくつろぐBAUメンバーたち。
ライアン、ギデオン、モーガン、スペンサー、JJが、ライアン現役時代の頃の話に花を咲かせて、とても楽しそう。
そんな彼らから離れて座っていたエルが、ホッチに話しかけます。
「ライアンはキーストーンキラーを追うために家族と離れ、子どもたちとは長年会っていないんだって」というエルにホッチは、「FBIでは離婚は珍しくない」と、さらっと言います。
何かあったらすぐに駆けつけられる状態にいないといけませんからね。
確かに家庭を持っていたら大変だと思いますし、独身の方が仕事しやすいのは確か。
独身の自分でもすぐに架けるけるのが難しい時もあるのに、ホッチはどうやっていつもそれができるんだろうってエルは不思議に思ったみたいですね。
どうやって仕事と家庭を両立するのか。
不思議そうにエルが聞くとホッチは、「家にいるときは家族に100%集中して、仕事の時はそれに100%集中する。」というふうに切り替えていると答えます。
まだ不満そうなエル。
エルはこの仕事を続けていて、もし、自分がシリアルキラーの側になってしまったら、モンスターたちを追いかけるだけで人生が終わってしまったら、という不安を抱えていたんですね。
捜査する側から殺人者に?って疑問が出てくるかもしれませんが、これを説明するには
ロバート・K・レスラー氏が著書「FBI心理分析官」で引用したニーチェの格言が適当です。
怪物と戦う者は、その過程で自分人も怪物になることがないよう、気をつけねばならない。深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ。 (「ツァラトゥストラはかく語りき」)
犯罪研究を続けているうちに、レスラー氏が殺人者に対して感じていた、魅力的な部分と危険的な部分を表す格言だそうです。
「理性を忘れてしまうと犯罪者の心の奥底の悪に飲み込まれてしまうので気をつけなさい」
犯罪者の心の奥を見続けてきたエルも、この恐怖に駆られたのではないでしょうか。
そして、必要であればデートの途中でも家族との談笑の途中でも、それをストップして駆けつけなければならない。
FBI捜査官としての人生にも疑問を持ったのでしょうね。
ライアンのような人生は送りたくない、と強く思ったのではないでしょうか。
確かに歳をとって「自分の人生ってなんだったんだろう」って振り返った時、いつもいつもモンスターたちを追いかけていた、という思い出しかなかったら悲しいですし。
そこで思い出されたのがリンカーンの格言ですね。
"In the end, its not the years in your life that count. Its the life in your years."
(「大切なのは年齢・何年生きたのかではなく、その年月をどうやって生きてきたのかである」※ 訳参照:ガベージニュース)
ライアンの人生は、エルからしたら味気のない、寂しいものだ、と思うかもしれませんが、ライアンはやっぱりそれが自分の天職であると確信していたのでしょう。
だからたとえ家族と離れてしまっても、犯人逮捕に貢献できたことは、この上ない喜びで、そのために費やしてきたこれまでの人生は無駄ではない、と思っていたとしたらそれはそれで大切に生きた人生なのではないでしょうか。
もしエルが、そんな人生が嫌であれば、「どうやって生きようか」を基準にした道を選択すればいいわけですし。
いずれにしても振り返った時に「いい人生だったな」って思いたいですね。