女性ばかりが狙われる、連続殺人事件!
死因が不思議、そして遺体はまるで人形のように丁寧に扱われていた。
犯人はひょっとして女?
でもなぜこんなことを?
今回も理解不能な行動をする犯人が登場します!
クリミナル・マインドシーズン5 第12話「人形の館(The Uncanny Valley)」のあらすじと感想です。
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アトランティックシティにある遊園地で25歳のRita Stuart(リタ・スチュアート)の死体が発見された。
スチュアートの遺体には、シフォンのワンピースを着せられ、化粧やネイルが施されていた。
これは先に公園で発見された、29歳のStacia Jackson(ステーシア・ジャクソン)と酷似していた。
しかしスチュアートとジャクソンには、2ヶ月前に失踪したという共通点以外見つからない。
薬物反応の報告書に目を通したリードは、アトラクリウムやドキサクリウムといった神経筋遮断薬が投薬されており、頭は動くが体の自由がきかないという生活を
被害者は失踪してから亡くなるまで強いられていたと予測する。
現場に向かう機内の中で、事件について意見を交わすホッチナーたち。
スチュアートもジャクソンも身だしなみが整えられ、乱暴に扱われた形跡が全く見つからなかった。
また、栄養は点滴から与えられていたようだ。
遺体の扱いの丁寧さから、プレンティスは犯人は女性ではないかとの見方を強める。
しかし女性一人が遺体を抱えて現場に遺棄するのは難しいのではないか、とも考えられたが、被害者が小柄であるという共通点に気がつく。
さらにガルシアの報告で、被害者に着せられていたシフォンのドレスは、被害者の体にフィットしていたことから、犯人は小柄の女性を狙っているということがわかった。
アトランティック・シティ警察に到着したJJ、プレンティス、モーガン。
プレンティスとモーガンは、被害者の家族からそれぞれ話を聞き、2人とも外見に気を使いファッションに興味があり、小柄な体にあった洋服を着るため、服をサイズ直しに出すという共通点を発見した。
一方、ホッチナーとロッシは、スチュアートとジャクソンの遺体が発見された遊園地と公園で現場検証をそれぞれする。
子供が楽しむ場所を遺体遺棄現場に選んだのは、おそらく辛い幼少時代を過ごしたため、遊園地や公園に憧れがあったためだろう。
遺体を運ぶため、犯人はバンかSUV車といったタイプの車を持ち、遺体を運びやすくするため、車椅子を使った可能性がある。
車椅子を使うならリフト付きのバンで、身体障害者のプラカードを持っているはずだ、という推理に達する。
リードは検死官から、スチュアートの検死結果の報告を聞いていた。
そこでリードは
という情報を得る。
スチュアートやジャクソンに似たタイプの女性が失踪していないかどうか調べていたガルシアは、条件にあった失踪者が2名いるということを発見。
注目すべきことに2人はスチュアートとジャクソンの遺体が発見された前日に失踪しているという、偶然としては片付けられない特徴もあった。
Mary Newsome(メアリー・ニューサム)という女性の遺体が発見される。
ニューサムはつけ毛ではなく、かつらが頭皮に直接縫われていた。
遺体が発見されたということは誰かが犯人に拉致された可能性が高い。
その後の調べで、Bethany Wallace(ベスニー・ウォレス)が立ち寄ったクリーニング店を最後に消息を断っていたことがわかる。
被害者は黒人と白人というふうに、人種に関係なく犯人はターゲットにしていたが、黒人が亡くなったら新たな黒人の被害者を、というふうに、犯人が被害者を狙うパターンが見えてきた。
ホッチナーたちはこれまでの捜査を整理し、犯人のプロファイルを発表する。
ジャクソンがよく訪れていたというブティックを訪ねたJJ。
店の店主は、ドレスの縫い目を見て、このロック・スティッチはシルクのハンカチーフを縫う時のパターンで、自分では縫うことができない、という。
これを手作業でやってのける人間は限られているはず。
犯人に近づきつつあるホッチナーたちだったが、最後に誘拐されたウォレスは糖尿病を患っていることをウォレスの夫から聞かされる。
残された時間は少ない。
さらなる情報を求めて、モーガンとリードはある人形店を訪れるが、そこで犯人を特定する有力な情報を得ることになる…
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人間と人形の区別がつかなくなって、こんなふうに人間を人形の代わりにする犯人ているんだろうか…
考えただけでゾッとしますよね(汗)
犯人は暴力的なことはしない、というプロファイル通り、拉致した女性たちには危害を加えようとはしないので、いつもよりも安心して見ることができましたが、
糖尿病を患っているウォレスは別でした。
ウォレス大丈夫かな、早く助けてあげてほしい~!
というところが焦ってしまいましたね。
犯人は確かに女性なんですが、そこにはどんでん返しがあって最後はびっくりしました、ホント。
殺すつもりはないけど、死んでしまったので思いのある場所に捨てた(というより、犯人にとっては置いてきたんでしょうね…)
全くの純真無垢で、罪の意識がまったくない犯人。
この人もある意味被害者なのかも。
そう思ったり、「いや、でも殺人は殺人だし」という複雑な思いが交錯しました。
The Uncanny Valleyとは不気味の谷現象という意味で、ロボット工学や3Dアニメーションの概念の一つ。
ロボットに対する人間の感情的反応は、ロボットが人間らしい動作をしたりすると人間はロボットに対して好意や親近感を持ちますが、ある時点を堺に
急にそれが嫌悪感に変わるという現象があり、行為と嫌悪の感情の急激な差の部分を「不気味の谷」と呼ぶそうなんです。
ロボットが人間らしく行動するのは確かに面白いですが、人間と全く同じようにふるまうと確かにぞっとするものがありますよね。
なんか乗っ取られたみたいな。
まあそんな感情の変化を犯人の人形の執着心を表現するためにというのも、この原題をつけた理由だそうです。
エピソードの冒頭でのシーン。
チェス仲間が集まる公園で読書をするスペンサーに、ひとりでチェスをする青年が話しかけてきます。
チェスに乗り気でないスペンサーに理由を聞くと、「以前仕事仲間とチェスをしていたんだけど…」といった時に、すぐギデオンを思い出しました。
そういえばギデオンがBAUにいたころ事件解決後の機内で、よくチェスしてましたもんね~。
ギデオンはシーズン3の始めのほうでBAUを去ってしまいますが、未だにスペンサーの心のなかに残っているし、観ている側にとっても忘れられない存在。
チェスへの情熱を失ってしまったスペンサーでしたが、エピソードの最後で例の公園でチェス仲間の青年と再びチェスをします。
今回のどんでん返しががあったように、「チェスにもパターン以外の例外的な展開が出るかもしれない」そんなふうに思ったのでしょうか。
また、それまでギデオンに対して寂しさを抱いていた気持ちが吹っ切れたのでしょうか。
チェスは打つ手に種類はあるものの、始めから終わりまでパターンがあることに気がついてしまったスペンサー。
そして、そのパターンに飽きて、他のパターンを探すためにギデオンはBAUを去ったのかもしれない。
チェスとギデオンの去就を絡めて考えるって、スペンサーらしいですね。
でも、今回のことで、例外もあるということに気がついた。
チェスを再会したスペンサーですが、彼の成長が垣間見れた気がしました。
今回の事件のように女性の殺人犯で、人種や年令に関係なく被害者を殺した女性殺人犯の例としてリードが挙げたのがジニーン・ジョーンズとエイミー・アーチャー。
といっても2人は共犯ではなく、事件を起こした年代も全然違います。
ジニーンジョーンズは、1981年から82年にかけて46人もの児童の命を奪った元小児科看護婦。
自分の立場を利用して入院している子どもたちに抗凝血剤や筋弛緩剤を注射し、その子供が危篤に陥った時はまっさきに駆けつけ必死に看護、子供が亡くなると、遺族と一緒に悲しむという典型的な英雄症候群タイプの殺人鬼です。
大勢の子供を殺害したジョーンズですが、1件の殺人事件で99年の刑を言い渡され、その後1件の殺人未遂事件で60年の刑が加算されました。
これだけの子どもたちを手にかけておいて、裁判まで持っていけたのは、たった1件(殺人未遂事件を入れたら2件)とは。
被害者の親だったら、気が狂いそうです!
そのジョーンズの仮出所が認められるのは2017年になるということです(こんな大罪を犯した犯人に仮出所が認められるなんて!)(ウィキペディア参照)。
それからもう一人、エイミー・アーチャー(またはエイミー・アーチャー=ギリガン)ですが、1900年代初頭に自分の夫を含め、経営していた老人ホームの入居者少なくとも50名を殺害しました。
1907年から1917年の10年間で、60名の入居者が亡くなるという不自然さから、疑惑の目がアーチャーに向けられ、警察が捜査に乗り出します。
そして、殺鼠剤を大量に購入した事実を突き止め、いくつかの遺体を調べてみるとヒ素やストリキニーネが遺体の体内から検出されたことから、アーチャー逮捕に至りました。
逮捕されたアーチャーは、当初5件の殺人事件で起訴されましたが、弁護士の働きかけにより1件の殺人事件で起訴、死刑判決を受けます。
その後言及され終身刑になりましたが、一時的な精神異常と診断され、コネチカット病院に入り、そこで生涯を終えました。
ジョーンズの殺人は、自分が活躍して快感を得たい、という動機から何十人もの子どもたちを殺害しましたが、アーチャーの場合はどうやら入居するお年寄りのお金が目当てだったようです。
殺人の動機は犯人の自分勝手さから出てくることが多いですが、自分勝手にもほどがありますよね…
と、こういう胸がムカツクような話で記事を終わらせたくないので、最後にまたクリマイのエピソードについて一言!
不気味の谷現象をもとに、犯人の犯行動機や最後の意外な展開、それからギデオンの回想など、クリマイ好きさんを満たしてくれるような内容だったと思います!
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リード: Mildred Lisette Norman wrote, "Anything you cannot relinquish, when it has outlived its usefulness, possesses you. And in this materialistic age, a great many of us are possessed by our possessions."
(ミルドレッド・リセット・ノーマン「必要のない物を捨てねば、その物に所有される。この物質主義の時代、多くの人間が所有物に所有されている。」)
リード: Isaac Asimov wrote, "In life, unlike chess, the game continues after checkmate."
(アイザック・アシモフ「人生はチェスと違う。詰みの後もゲームは続く。」)
ヤン・ボスリー「ミニチュアズ」Miniatures by Yan Vosly