クリマイ世莉が解説!
クリミナルマインド11第14話「地下室の少女たち」。
脱出に成功したティーンが保護されて発覚した監禁事件!
しかも監禁場所は、乗っ取られた家だった!
持ち主はどこ?
そして持ち主と犯人の接点は?
複雑に絡み合う事情から浮かび上がる犯人像、そして犯人逮捕後に浮上する、新たな監禁疑惑!
クリミナルマインド・シーズン11第14話「地下室の少女たち(Hostage)」のあらすじと感想です。
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ミズーリ州セントルイスで、ジーナ・ブライアントという18歳のティーンが警察に保護された。
ジーンは裸足の上、汚れたナイトガウンを着ていたことから、監禁されていたことは明白だった。
里親の元で育てられていたジーンは、8歳の時男に連れ去られ、以降10年間監禁されていたと警察に話しているという。
さらにジーンによって、15歳のシーラ・ウッズも監禁されていることがわかった。シーラは7歳の時に誘拐されていた。
もうひとり「ヴァイオレット」という、ジーンより年上の女性も監禁されていたことがわかるが、データベースを調べても身元が出てこなかった。
また、ジーンは自分を誘拐した男は初老の白人男性で、「トム」と名乗っていたことを覚えていた。
ジーナの証言から監禁場所を割り出した警察は、現場に急行する。
そこで地下室に横たわるシーラを発見するが、トムとヴァイオレットは姿を消していた。
ガルシアは、監禁場所の家の持ち主を特定する。
家主はクララ・リギンスという女性。消息ははっきりしていなかったが、当座預金口座は可動していて、毎月きちんと公共料金の支払いが行われていた。
しかしガルシアが計算したところ、クララが生存していれば108歳になる。
クララについて調べていたガルシアは、近隣住民の話として「クララは20年ほど前から見かけていないが、クララの孫と名乗る男が住んでいた」ということをホッチナーたちに紹介する。
そして、「クララには孫はいない」「『トム』と見られるその男は青い色のバンに乗っていた」ことも報告した。
監禁場所から無事保護されたジーナとシーラは、同じ病院に搬送されていた。
ギヴェンス医師はシーラについて「流産による合併症から敗血症を引き起こし、子宮摘出を行った」と、危険な状況であることをホッチナーたちに伝える。
また医師は、シーラの背中に虐待とみられる古傷を発見、鞭などでつけられた可能性を指摘する。
一方のジーナは、脱水症状はあるものの、快方に向かっているという。
ジーナの体には骨折の痕が複数見られ、シーラと同じく背中に古傷があった。
ジーナと面会するJJとスペンサー。
ジーナは、誘拐された当日のことを2人に話す。
家に帰りたくなかったジーナは、いつものように外で過ごしていたが、その日は忘れていたセーターを取りに公園に戻った。その時ヴァイオレットと出会い、話に花を咲かせているところに子犬を連れた「トム」が現れる。
子犬の餌を取りに3人で車に向かったところ、いきなり殴られてヴァンの中に押し込まれ、そのまま監禁されたというのだ。
監禁場所を捜索するロッシとモーガン。
3人が監禁されていた地下室には血だらけの部屋があり、手製とみられる拷問台と器具が残されていた。
トムが使っていたとみられる寝室は、きちんと整理整頓されていた。ロッシはキッチンからボンテージと拷問ポルノ一式を発見する。
こうした様子から、ロッシとモーガンはトムについて
と分析する。
トムにとって逃亡するということは、支配力を失うということ。
なぜその道を選んだのか?
トムはヴァイオレットを連れて逃げている。
「もしかしたらヴァイオレットはトムの実の娘ではないか」と2人は推測する。
血の繋がりのないクララとトムはどうやって知り合ったのだろうか。
職業柄、トムは高齢のクララに取り入って、家や身の回りの世話をしていたのではないだろうか。
「そしてある日トムはクララを殺した」と、ロッシは推測するが、「トムは殺人はしない」とモーガンは疑問を投げかける。
この家にはクララが過ごしていたという生活感が殆どない。
クララはどこにいるのだろうか?
その頃ジーンはJJとスペンサーに、トムが夜、庭に出ることを許してくれたときのことを話す。
庭に出たジーンは花を植えるが、その時トムが「その花はクララのため」と言ったというのだ。
ジーンが植えたとされる花周辺を掘り起こしてみると、クララの白骨化した遺体が発見された。
トムの似顔絵から青いバンの持ち主特定を進めていたガルシアは、マイケル・クラーク・トンプソンという人物に行き着く。
トンプソンは建設・修繕業を営んでおり、最後に使った携帯電話は監禁場所であることがわかった。
ホッチナーたちは、トンプソンについてプロファイリングを発表する。
その後警察はトンプソンのバンを発見、モーガンは逃げるトンプソンを取り押さえ、ロッシはヴァイオレットを無事に保護する。
しかしヴァイオレットは治療も話すことも拒否、トンプソンを「ダディ」と呼び、会わせてくれと必死に懇願するだけだった…
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監禁場所は1箇所ではなく、もう一つあった、という展開が衝撃的なエピソードでしたね。
さらに最後も衝撃的で、「えっ!?」で終わってしまいました。
とにかく犯人が腹立たしい!!
全く悪びれもせずさらに「隠れ家」を盾にホッチに司法取引ふっかけたり。
ジーナはとにかく頑張ってくれましたよね。
彼女が脱出を試みなければ明るみになることはなかったし、あのデブ野郎を捕まえることもできませんでした。
一生懸命頑張ったけど、シーラの命を救えずに号泣するシーンは、こちらももらい泣き。
最後ヴァイオレットと抱き合うシーンがありましたが、拉致の片棒を担いだヴァイオレットのことはまったく憎んでいなかったんですね。
トンプソンがヴァイオレットに対してもいろいろと悪い仕打ちをしていたのを見ていたのかもしれません。
地下室で一緒に生活していたわけですし、同志みたいな感情を持っていたのかもしれませんね。
また、洗脳が解けていないヴァイオレットにヤキモキしたり、酷い目にあわされてそのまま助からなかったシーラに涙したり。
びっくりしたり腹が立ったり、涙腺刺激されたり。
感情が目まぐるしく湧き出たエピソードでした。
クララさんに取り入って、まんまと家を手に入れ、さらに自分の欲望を満たすために女の子たちを監禁するという鬼畜。
マイケル・トンプソン
出典
やっていることですでに怒りが頂点に達しているのに、逮捕後の態度にまたまた怒り心頭!!
俺は誰も殺してない、すべてはみんな女の子たちのため的な態度が本当に不快でした。
「暴力はしつけのため」
「ジーナは孤児で里親からいじめられていたから助けてやった」
などと、ほざいていましたよね。
あ~、ホント最低なヤツ!
拉致した少女たちに花の名前をつけたり、自分のこと「ダディ」と呼ばせたり、キモかったです。
ヴァイオレットとの間に生まれた子どもたちを、別の場所に監禁していたトンプソン。
それを盾にホッチにいろいろと注文を取り付けていましたが、ここまで自己中心的だと、怒りの炎がメラメラしてきますよね。
最後はシーラの母にズドン、と一発打ち込まれて絶命しましたが、他人の私でも張り倒したいほどなので、母の気持ちは痛いほどわかりました。
個人的ですが、クリマイ史上「最もイラついた犯人」になりますね~。
無事にリリーとジャスミンを保護、交渉に破れたトンプソンは、ホッチたちに連行されました。
病院の通路を歩いていた時に、突然轟く銃声!
トンプソンはその場に倒れます。
銃を発射したのは、シーラの母。
こんな結末になるとは…
ホッチたちもびっくりしてましたが、見てる私もびっくり!
何の罪もないシーラは、この鬼畜のせいで命を落とした。
当の本人は後悔の念もなくのうのうと生きている。
だからなのかもしれないけど、やって欲しくなかったな、というのが率直な気持ちです。
おそらく鬼畜トンプソンは終身刑になったであろうし、本人がそれを一番嫌がっていたからです。
あいつには、(刑務所に)コントロールされながら、一生を送って欲しかった。
あいつのためにシーラの母が苦労しなきゃいけないなんて、ですよね。
この結末にしたのはたぶん最後の格言につなげたかったからかもしれないですね。
内容がまたドンピシャリですよね。
それか、最後のシーンは「あの腹立たしいトンプソンをどうにかして!」という視聴者の声に応えたのかもしれないし。
いずれにしても衝撃的な結末でした。
頭のてっぺんから爪先までムカついたトンプソンですが、唯一スカッとしたシーンがありました。
警察に包囲され、すきを突いて逃ようとするトンプソン。
「おいおいマジかよ」と言いつつ、余裕で捕まえるモーガン。
「手首がぁ~」と、騒ぐトンプソンにモーガンが一言。
「あれ、ひょっとして怪我させた?そりゃ悪かったな」
このシーンだけですね、本当にスカッとしたのは。
ありがとう、モーガン様!!
ロッシのセリフで気になったのが一つ。
プロファイリング発表の時ロッシが
"The apple doesn't fall too far from tree."
と言ったんですが、意味がよくわかりませんでした。
直訳すると、「りんごは木から離れすぎたところには落ちない」ですよね。
でも調べてみると、これは慣用句で「子供は親の跡を継ぐもの」という意味があるそうです。
トンプソンの父は女性に対して暴力をふるっていましたが、それを見ていたトンプソン少年は女性嫌いになり、父と同じように女性に対して暴力を奮っていました。
「この親にしてこの子あり」ということを、ロッシは言いたかったようですね。
今回の事件に類似しているとして、ロッシが事例に挙げたアリエル・カストロは、「クリーブランド監禁事件」の犯人。
この事件については他のエピソードで紹介しているので(「箱の中のハロウィーン」)、詳しくはそちらを参考にしてくださいね。
今回の事件と、クリーブランド監禁事件は、似ている点がいくつかあります。
「地下室の少女たち」 | 「クリーブランド監禁事件」 | |
---|---|---|
事件発覚の経緯 | ジーナが監禁場所から自力で脱出。警察に保護された。 | 監禁されていた女性が脱出しようと助けを求め、近隣の住人が警察に連絡、保護された。 |
監禁人数 | 3人 | 3人 |
監禁期間 | 約10年(ジーナ) | 約10年 |
逮捕後 | シーラの母に射殺される | 刑務所内の独房で首吊り自殺 |
今回のエピソードは、カストロの事件がベースになってるのかな?
と思うフシがいくつかありました。
ガルシアが、監禁場所の持ち主をクララと特定した時、「彼女はMIAだけど」というシーンがありました。
何の略?と思って調べたのですが、恐らくこれだろう、というのが「Missing in action」。
「行方不明兵」という軍隊用語なのですが、ガルシアが「クララはMIAだけど、当座預金口座はアクティブになっている」と言ったので、そうなんじゃないかなと思いました。
「トム」の身元が判明し、トンプソンの行方を追う時に「APBに発令する」というシーンがありました。
このAPBは、「all-points bulletin」の略で、逃亡中の犯人などを探すために、全警察に報告することを指すんですね。
ドラマに良く登場する略語なので、覚えておくと便利かも。
※シーズン7「禁断の果実」では、ラリー・ベンソン牧師役で出演。
ロッシ: "By the will art thou lost, by the will art thou found, by the will art thou free, captive, and bound." — Angelus Silesius
(「人は自ら迷い、自ら救われる。自由に生きるも囚われるもおのれ次第だ」アンゲルス・シレジウス)
ホッチナー: "Revenge is an act of passion; vengeance of justice." — Samuel Johnson
(「復讐は情熱の行動;正義の報復だ」サミュエル・ジョンソン)
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