クリミナルマインド・シーズン3第17話「灼熱の街」で、「クラスターB パーソナリティ障害」という言葉が出てきました。
エピソード内の犯人が「クラスターB パーソナリティ障害」だったのですが、あまり聞いたことのない病名だったので気になりました。
パーソナリティ障害は、精神疾患のひとつに分類されます。
簡単に言うと、自分の行動や考えが、周囲の人と全然違っていて、それによって精神的苦痛を味わったり、周囲が困惑するほどのパーソナリティを持っていること。
そして、このパーソナリティ障害は、症状別にクラスター(A・B・C)に分類されるということです。
クラスターBパーソナリティ障害というのは、パーソナリティ障害のひとつなんですね。
どんな病気なのか気になったので、ちょっと調べて見ることにしました。
「灼熱の街」では、殺害した相手になりすますという犯人の行動から、エミリーは「犯人はクラスターB パーソナリティ障害に冒されてるのではないか」と推測します。
「DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引」では、パーソナリティ障害のタイプを3つのカテゴリーに分けています。
日本精神神経学会のホームページによると、パーソナリティ障害は
と、3つのカテゴリーがあり、さらに細かいパーソナリティ障害にそれぞれ分類されていきます。
ちなみに、クラスターBパーソナリティ障害には
という、4つのパーソナリティ障害があります。
今回のエピソードに登場したシリアルキラーは、クラスターB パーソナリティ障害の中のひとつ
「境界線パーソナリティ障害」と見られています。
ウィキペディアの定義を引用すると
「境界線パーソナリティ障害」とは
青年期または成人初期から多く生じる、不安定な自己 - 他者のイメージ、感情・思考の制御不全、衝動的な自己破壊行為などを特徴とする障害
ということです。
自己を極端に否定して、怒りの感情を抑えることができず殺人衝動に駆られて相手を殺してしまう。
そしてその相手になりすます犯人。
なるほど、犯人は境界線パーソナリティ障害の持ち主だったんですね。
境界線パーソナリティ障害は、強いストレスによって引き起こされるそうですが、症状の一つに離人感というのがあって犯人にはこの症状が出たのではないでしょうか。
別記事のあらすじには書きませんでしたが、犯人は、自分がゲイであることを理由に、実の父親から暴力を受け、ゲイである自分を極端に憎みます。
これが強い自己否定や不安定な自己を生んだのではないでしょうか。
お父さんの理想の息子は健全な強い男で、それ以外は男じゃない、という価値観を持っています。
その価値観とまるっきり逆の犯人が、「自分は最低の人間だ、憎くて仕方ない」と、思ってしまうのも無理は無いでしょう。
そして、他人になりすまし、自分自身から逃避する。
境界線パーソナリティ障害の場合、自分を消し去りたいという気持ちがものすごく強いんでしょうね。
ロッシが犯人のお父さんに向かって、「あんたは殺人者を育ててきたんだ」って言いますが、本当にそうだと思いました。
お父さんが自分の価値観を押し付けず、自分の息子がたとえ何であろうとも受け入れて愛してあげたとしたら…
境界線パーソナリティ障害は発症せず、幸せな人生を送っていたのかもしれません。
そう思うと、やっぱり悲しいエピソードですね。